君に贈る
「ねぇ、悟」


「ん?」


振り返り窓枠にもたれた


「私、記憶喪失のフリしてるの」


「は?何で?」


「沙菜と琉生くんには言わないで」


「…」


愛理は布団をギュッと握った


「私‥事故って‥死ねばよかったのに‥」


「おい‥」


「こんな苦しいの‥イヤだ‥」


愛理はポロっと布団に涙を落とす


「死ねばよかったなんて言うなよ」


俺は愛理の頭を撫でた


「っ‥ごめんね、悟っ‥」


「…」


愛理の涙はしばらく止まらなかった


俺はずっと頭を撫でた


「ごめ‥グスン」


「愛理、俺らも幸せはくるって」


「…」


「ほら、よく言うじゃん、イヤなことあった次にはイイことがあるって」


だから、前に進もう
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