君に贈る
コイツといるとバカになる


私は松葉杖で必死に歩く


着いた場所は裕の実家


裕の住んでたとこから歩いて5分くらい


それなら実家に住めばいいのにって言ったら


『俺は独立したい』って言ってた


家の前には鯨幕が張ってある


私はそのまま入った


今日お葬式だったんだね‥


黒っぽい服を着てはいるけどどうしても目立つ


家の中には家族らしい人しかいなかった


「あら、可愛い御嬢さん。裕に会いに来てくれたの?」


80代くらいのおばあちゃんが私に問う


「はい‥お線香を‥」


「どうぞ、会ってやって‥」


おばあちゃんの言葉に目頭が熱くなる


私は家に入り裕に会った


「っ‥裕っ‥」


私は立ったままお線香をあげた


ごめんね、裕


私のせいで‥裕は‥


裕、待ってて


私もそっちに逝くから


私は手を合わせた後クルッとまわって家を後にした
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