君に贈る

そう言って両手を広げる悟から私は離れた


「沙菜ぁ‥」


「私は琉生が好きなの」


「フッ。やっといつもの沙菜んなったじゃん」


「え‥」


私は悟を真っ直ぐ見た


「その気持ちは信じれるだろ?」


「っ‥」


「今頃旦那心配して街を走り回ってんぞ?」


「えっ」


「ほら」


そう言って悟は携帯の着信履歴を見せてきた


ズラッと並んだ琉生からの着信


「さっきからずっと俺にかけてやんの。疑われてるな、俺」


「悟‥」


「行けよ。このままだとお前襲いそうだしな」


胸が苦しくなる


「ありがとう、悟」


「あぁ、ちゃんと琉生の話を聞け」


「うん、わかった」


私は悟の家を飛び出した


「色気づきやがって」


そんな悟の声は私の耳には入ってこないくらい慌てていた