君に贈る
マンション前にいる琉生


結衣はいない


「琉生っ」


私は琉生に抱きついた


「沙菜、どこ行ってたんだ?」


「ごめんなさいっ」


「無事ならいいんだ」


琉生は優しい言葉をくれる


信じきれなくてごめんなさい


もっと強くなるから


だから、私から


「離れてかないで」


「離れるわけないだろ。どっちかっていうと沙菜が離れてったんだけど?」


「う‥」


頭の上でクスクス笑う声が聞こえる


「そんな悟がいいか?」


私は首を横に振る


「フッ。沙菜」


優しい声が降り注ぐ


私は琉生を見上げた


「ごめん、俺さっき結衣にキスされた」


「琉生からじゃないよね?」


「当たり前だろ。さっきから口がムズムズすんだ」


「それどうゆっ‥」


それどういう意味って聞こうとする前に口を塞がれた


何度も角度を変え深くキスを交わす


琉生‥


力が入らなくなる
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