君に贈る
「沙菜、気のせいだよ、だってあの琉生くんが・・」


「私もそう思いたい・・でも・・」


香った・・


私のとは違う香りが・・


「沙菜、行くよ」


そう言って手を引く愛理


「どこにっ」


「決まってるでしょ」


「ダメ、愛理ダメ・・」


私は愛理を引き留める


「どうして!?」


「琉生はそんなことしない・・しないから‥」


「・・沙菜、このままでいいの?」


「…」


「結婚してたって、紙切れ一枚の関係なんだよ?」


「…」


頬を流れる涙


私はその場に座り込んだ


「沙菜、信じてるなら、何も怖がることないじゃない」


「・・っ」


私は愛理を見上げた


「嫁の沙菜が会社に行ったところで、何もおかしくないでしょ」


「愛理、やめよう」


こんなのよくない


会社に行ってもおかしくない


だけど、まるで疑ってるようにもとれるでしょ



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