君に贈る
愛理SIDE

私はフラフラの足取りでトイレに向かう


個室と言っても完全に仕切られてるわけじゃない


キラキラの暖簾があるだけ


私はそれぞれの個室をチラ見して歩いた


そこで一つの個室に目を奪われた


そこはカップル席で


男と女が隣同士に座ってる


ん?


いや有り得ないか


私は気のせいだと思ってトイレに歩みを進めた


ここに琉生くんがいるわけないよね


はは


今日は飲み過ぎたかな


私が個室に戻ると沙菜は机に突っ伏して寝ていた


「おーい、沙菜、起きて」


声をかけるとゆっくり起き上がった


「愛理おかわり」


「はいはい、今日はお開きにしよ」


「ダメ」


「帰れなくなるって」


「琉生に迎えにきてもらお」


「…」


もう


「じゃあもう少しだけね」


「ん。さすが愛理」


へへっと笑う沙菜
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