ふたつ星
翔さんはコホンと一つ咳払いをすると、さっきの言葉を続けた。
「大体、お前は悪くないだろ」
そういう意味の“悪い”じゃなかったんだけどなと思いながら言葉の続きを聞く。
「悪いのは、いじめる側の人間だ。見て見ぬふりの人間もな」
「でも、私なんかいじめられてもしょうがないんです」
その言葉を聞いて翔さんはイラついたように声を荒らげる。
「いじめられてもいい人間なんかいないんだよ!」
「でも……」
「でもじゃない!だから死のうなんて考えるな!こんな人の痛みのわからない自分勝手な奴らの為に死ぬなよ」
私の肩を掴んだ翔さんの手は力強く、そして震えていた。
だから私は頷かずにはいられなかったんだ。