ふたつ星
「謝るのは俺だ。きれいごとを並べた勝手な言葉でお前を縛って苦しめた」
本当に申し訳なさそうな顔をする翔さん。
その顔を見て私は顔を大きく左右に振って否定する。
「翔さんの言葉で考え方が変わったんです。夜、辛くなくなったんです」
だから……と私は続けた。
「ありがとう、翔さん」
翔さんの手を握って、一番の笑顔を向ける。
一瞬目を丸くした後、翔さんのその瞳は柔らかな光を宿した。
「って、びしょ濡れのままじゃヤバいな。風邪ひく」
しばらく見つめ合った後、不意に翔さんが口を開いた。
「ですね」
忘れてたと私が笑うと翔さんは私の髪をくしゃくしゃとかき混ぜた。