ふたつ星


「紛らわしいんだよ!」



何度か瞬きをした後、突然彼は怒った声を出した。



驚いて目を丸くする私をよそに、私の腕から手をパッと離す。



そして踵を返すと少し歩いた所に寝転がってしまった。



そう、まるで昨日のように……。




風が河原を吹き抜ける。



草花を揺らし、彼の紅茶色の神を揺らす。



少し離れたこの場所からでもわかる。



彼は美しい……。




気付けば私は彼の方へと足を進めていた。



< 6 / 118 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop