ふたつ星


翔さんはおもむろに立ち上がると、窓際にある机の上にあるパソコンを開く。



そして、いくつか操作をすると私にパソコンが見えるように向き直る。



「何ですか?」



「これが俺の大学」



意味が理解できず、スプーンをくわえたまま首を傾げた。



「通信制の大学。パソコンで授業受けて、レポートを送ってる」



「へぇ、そういうのがあるんですね」



私は感心すると、熱心にパソコンに向かっている翔さんの後姿を思い出した。




「これだと、最低限しか他人に関わらなくて済む」




翔さんは、消え入りそうな声で小さく呟いた。




また一つ、翔さんのことを新しく知った。



いつかは翔さんの全部を知れたらいいな。


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