ふたつ星
重い過去


“人殺し”



その言葉に私は息を呑む。




「正しく言えば、人を死に追いやった」



翔さんは自分の右の掌で左手の拳をギュッと握りしめる。




「3年前、高3の時だった。俺はいじめをしていた……」



歯を食いしばりながら声を絞り出す翔さんの言葉に耳を疑った。




翔さんがいじめを……?




心臓がドキリと嫌な音をたてる。



「あの頃俺は、変わり映えの無い退屈な日常にむしゃくしゃしてた。そんなくだらないことに腹を立てて、何でもいいからそのストレスの捌け口が欲しかった」



一呼吸置き、翔さんが続ける。




「それがいじめだった」




< 74 / 118 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop