ふたつ星
重い過去
“人殺し”
その言葉に私は息を呑む。
「正しく言えば、人を死に追いやった」
翔さんは自分の右の掌で左手の拳をギュッと握りしめる。
「3年前、高3の時だった。俺はいじめをしていた……」
歯を食いしばりながら声を絞り出す翔さんの言葉に耳を疑った。
翔さんがいじめを……?
心臓がドキリと嫌な音をたてる。
「あの頃俺は、変わり映えの無い退屈な日常にむしゃくしゃしてた。そんなくだらないことに腹を立てて、何でもいいからそのストレスの捌け口が欲しかった」
一呼吸置き、翔さんが続ける。
「それがいじめだった」