ふたつ星
「初雪を捕まえた人は幸せになるんだっけ……」
独り言が虚しく響く。
私は今、初雪を捕まえたのに全然幸せになれそうにないよ。
ギュッと掌を握りしめて、胸の前で抱きしめた。
迷信でも信じたかった。
幸せになれると。
雪のちらつく道を一歩踏み出すと、私はゆっくりと歩き出した。
頼れる友達もいない私が今、帰れる場所は両親のいるあの家しかない。
居場所に無い場所に私は帰る。
“帰る”という言葉は違うかもしれない。
あの家へ、私は足を向けた。