ふたつ星


俯いて答えるとお母さんは静かに続けた。



「日向ちゃんの気持ちに気付いてあげられなくてごめんなさいね」



あまりにも穏やかな口調。



「どうしても思春期の女の子の接し方ってわからなくて……」



本当に申し訳なさそうに言ってくれるお母さん。



それが本音なのか気を遣って言ってくれている言葉なのか……。



本音であればいいと思ってしまう私はやっぱりここに居場所が欲しいのかもしれない。



「いえ、私こそごめんなさい、きちんと言葉にしなくて……」



私の言葉にお母さんは微笑んでくれた。




「ところで日向ちゃん、今までどこにいたの?本当に心配していたのよ」



私の手を取って、真っ直ぐ私を見つめて問うお母さんの目を直視できなかった。



まだ私は心のどこかで、警戒心を持っているみたいだ。




< 90 / 118 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop