ふたつ星


お母さんはそれに気付かなかったようで、言葉を続ける。



「でもね、それって刷り込みじゃないかしら。辛い時に助けてくれたから、優しくしてくれてた人だから好きになったの。疑似恋愛よ」



私はその言葉を聞いてとてつもなく腹が立った。



“いじめ”のことも勇気を振り絞って伝えたのに、そのことに何も言ってくれないなん
て……。



それよりも、私の翔さんへの気持ちを刷り込みや疑似恋愛と言われた方にもっと腹が立
つ。



この人は本当に何もわかってくれない。



いじめを受けていたことも心配しない。



私の気持ちを否定する。



最低だと思った。




そして私は気付いた。



翔さんがどんな人でも、私達の出会いがどんな出会いでも、どんな生活を送っていても私の気持ちは変わらない。



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