『好き』をあなたに
先に出た谷口君が少し先の廊下で待っててくれる。


「春菜」


そういうちょっとした優しさや春菜を呼ぶ声に、心がドキドキして、そしてポカポカする。


小走りに谷口君の所へ……途中、男子生徒の横を通り過ぎた。


「上野?」

─へっ?
振り返って──身体中から血の気が引く…。

耳の奥でガンガンと鐘が鳴っている。

『高橋克巳』

足がガクガクする…早く逃げなくちゃ…。


< 104 / 122 >

この作品をシェア

pagetop