『好き』をあなたに
連れて行かれたのは屋上。

谷口弘人は金網を背に座った。
顎で隣を指される。

春菜は仕方なく距離を開けて座った。

「あの…、何か用ですか?」

あの谷口弘人が私に何の用なんだろ…。

「お前、彼氏いる?」

「は?…いませんけど」

「あの弁当は?」

「あれは…、弟のです。」

なんなんだ?さっぱり解らない…。
「『ハル』って呼ばれてる?『乱舞』で?」

い、今、なんて!?
驚きが顔に出てしまった。

谷口弘人はふっと鼻で笑う。
「解りやす…。」

「あ、あの…。」

焦る春菜にニヤッと笑う。
「黙っててほしい?」

春菜はぶんぶんと顔を縦に振った。

谷口弘人が口を開こうとしたその時、バンッと屋上の扉があいた。
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