どうしてこんなにも。
幼馴染という関係がなければ、
関係が壊れることを恐れずに、
普通に告白とかできると思ったこともある。
けど、
この鎖のような関係がなければ、
俺は。
優璃の瞳に映ることすらできない。
「ゆうくん…??」
優しい声が頭上に降り注ぐ。
聴きなれた、高い声。
俺はゆっくりと目を開けると、
優璃に抱きつきたい衝動に襲われた。
「優、璃。」
彼女の不思議そうな顔が夢の中とは違って優しくて。
「え、ゆうくん?え、え、ええ、??」
「ちょっとだけ、」
俺は優璃の頭に右手をまわし、
背中には左手をまわした。
こうして抱きしめられるのも、
幼馴染としての特権。
「ふふ、ゆうくん、どうしたの?」
拒否もせず、俺の首に手をまわして抱きしめ返す優璃。
このぬくもりが、安心する。