どうしてこんなにも。
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「優璃のせいだからなー、もー。」
俺と優璃は二人でグラウンドに立っている。
担任はというと、俺たちにライン引きを頼んで職員室へ。
自分でやれよ、ほんと。
つかなんで世界史の教師がグラウンドのライン引きを生徒に頼むんだよ。
「あ、見て見てゆうくん!」
ガコガコと音を立てながらラインを引いていた俺のもとに優璃が走ってきた。
ん?、と顔を近づけ、優璃の手の中を覗く。
「うわっ」
と、俺の顔はひきつった。
優璃の手の中にはダンゴ虫が2匹。
「うわって何よー。可愛いでしょ?」
君のほうが可愛いです。
それが言えないチキンな俺。
でも、ダンゴ虫と比べられてもうれしくないよな。普通。
「んー、可愛い可愛い。」
文句を言いたげな優璃をよそに、俺はまた線を引き始める。
……
「終わったあー!!」
特に何もしてないくせに優璃はぐっと背伸びをする。
そんな優璃をよそに、俺はグラウンドを走った。
「あっ、待って!」
その言葉に俺はスピードを緩め、優璃が追い付いてくるのを待つ。
すると後ろから優璃が手を握ってくる。
目を合わせて、俺たちは笑った。