どうしてこんなにも。
いつも通り優璃の部屋に行き、
優璃がお茶を運んでくる。
「どーぞ。」
コップを手渡す時に、少し触れた指。
それがなんだか妙に恥ずかしくて。
「ん、ありがと。」
普段通りのポーカーフェイスを装うけど、ちゃんとできてるかは自信がない。
これ、優璃さん、わかってやってるわけじゃないんだろうな。
「ね、ゆうくん。」
耳元で普通のトーンでそうつぶやかれると、少しそれは大きく聞こえて。
けどもしかしたら、家が静かだったから大きく聞こえたのかもしれない。
「ん?」
そう返事をした瞬間。
「うわあっ!?」
耳に優璃の息がかかり、全身がゾクリと凍える。
そんな俺を見て楽しそうに笑う優璃。
…こいつ、どうしてやろうか。
「ゆうくん?」
下を向いている俺に少し近づく優璃。
少し伸びたその細い腕をつかんで、自分の腕の中に勢いよく引っ張る。
「きゃっ、」
バランスを崩して、俺の胸に顔面をぶつける優璃。
男の胸に激突するのって、結構痛かったりする。
「仕返し。」
優璃が顔をあげられないようにぎゅっと抱きしめる。
その時少し香ったシャンプーの匂いに、
俺は無意識に優璃の頭に自分の頭を乗せた。