どうしてこんなにも。
そんなこと、改めて言わなくても知ってるよ。
とか、
そんなお前が好きだ。
とか。
そんなクサい台詞を言えるほど、俺はできてなくて。
言ったら言ったで気持ち悪がられるんだろうけど。
それでも、優璃はきっとはにかみながら、ありがとって言ってくれる。
…と、思う。
「優璃、」
伝えたい言葉の、一片だけを口にする。
名前を呼んだだけ、ただそれだけ。
「どうしたの?」
優しく笑いながら、小さく開いた俺の腕の間に入る優璃。
…、どうして、伝わるんだろうか。
幼馴染だから?
以心伝心?
「なんでもない。」
繋いだ手は、そのままに。
「っ、!」
不意打ちで、彼女が俺の頬にキスをする。
唇だったらいいのに、とか思いながらも、
唇にいきなりキスとかされたら、俺の頭はパニックになるんだろうな。
目があって、彼女の顔が赤くなって、それにつられて俺も赤くなる。
「ゆうくん、顔赤いよ?」
それは君のせい。
だけど、俺は、意地悪をする。
「優璃も、耳まで赤いよ?」