だってキミが好きだから。
1.
榛名君と橋本さん
今まで高校という存在は、中学とかと比べて“特別”という気がしていた。
漫画やドラマで取り上げられている、高校という舞台。
そこで注目を集める、高校生の存在。
中学のころ、わたしは密かに高校のことを“神域”と呼んでいた。
それほどに、わたしにとっては特別な場所だった。
そんな桜舞う4月。
わたしは家から電車で約15分の高校の校門の前に、震えながら立っていた。
真新しい制服を身に纏って、校舎に向かって歩いていく人影を、視線で追う。
…わたしは、今日から念願の高校生だ。
嬉しさ半分、不安半分。
わたしの背中にはツウッと冷や汗が流れた。