だってキミが好きだから。
大野梨乃。
通称りっちゃんは、わたしの小学校からの友達だ。
可愛いにも関わらず、全く女っ気のない彼女。
本当に、男より男らしい。
「何、入んないの?クラス張り出されてるよ」
「あー…うん、そうなんだけど…」
「もう!ウジウジしないで行くよ、ほらっ」
「え、ちょ…!りっちゃん!」
りっちゃんに半ば無理矢理そう促されて、思い切り背中を押された。
その拍子に、ポンといとも簡単に学校の敷地内に、右足が入ってしまった。
こ…高校生活の第一歩が…っ!
右足を見下ろして、思わず顎をカクカクと震わせる。
しかしりっちゃんは、わたしになんて目も暮れず、わたしの手を引いて歩いていく。