お隣サマ。
「紅茶でいい?」
「はい……」
いつもと変わらない会話
だけどどこか空気が重く感じるのは気のせいとはいえなかった
「さてと、どこから話そうかな」
紅茶をあたしの前に置いた会沢さんはあたしの向かい側に座った
「どうして、一流作家のあなたがこんなアパートに住んでいるんですか?」
「あぁ、それは簡単なことだよ
俺の前に住んでたマンションがばれたから。
顔は幸い見られてないけど、ここは一時的な非難場所ってワケ」
紅茶に口をつけた会沢さんは静かにすすった
沈黙をさらに浮き彫りにするその音
だけどその沈黙を破ったのは会沢さん自身だった
「……まぁなんてゆーか、親父は俺の憧れだったんだよね」
「憧れ……」