お隣サマ。




「紅茶でいい?」

「はい……」



いつもと変わらない会話
だけどどこか空気が重く感じるのは気のせいとはいえなかった







「さてと、どこから話そうかな」

紅茶をあたしの前に置いた会沢さんはあたしの向かい側に座った




「どうして、一流作家のあなたがこんなアパートに住んでいるんですか?」

「あぁ、それは簡単なことだよ
俺の前に住んでたマンションがばれたから。

顔は幸い見られてないけど、ここは一時的な非難場所ってワケ」



紅茶に口をつけた会沢さんは静かにすすった


沈黙をさらに浮き彫りにするその音

だけどその沈黙を破ったのは会沢さん自身だった






「……まぁなんてゆーか、親父は俺の憧れだったんだよね」

「憧れ……」



< 113 / 184 >

この作品をシェア

pagetop