お隣サマ。
一息ついた会沢さんは、再び前を向いてはっきりと言った
「僕はもう迷いません
これからは父としてではなく、僕の書きたかったミステリーを書きます
今日発表する新作は、僕として書いたミステリーです」
会沢さんはそう言うと頭を深く下げた
「父のミステリーを愛してくれた皆さんには本当に感謝しています
ありがとうございました!!
そして裏切るような行為を謝罪するとともに、挨拶を終わらせて頂きます」
パチパチパチパチ
あたしは無意識に拍手をしていた
それにつられるように拍手の音は大きくなった
顔を上げた会沢さんは微かに微笑むと、舞台から姿を消した