お隣サマ。
……驚いた
まさか本当に会えるなんて
「会沢さん……」
「こんなところで会えるなんてね
見たところ手ぶらだし、夕飯の買い物ではないかな」
たくさんの人が行き交う中で、あたしたちは流れに逆らうように止まっていた
「いや、あの……
部屋にケータイが置きっぱなしだったから……」
「あっ、本当だ
全然気づかなかったよ。わざわざありがと♪
それにしてもよくここにいるってわかったねー」
ケータイを受け取りながら会沢さんは驚いたように言った
「人と会う約束してたから……他に思い当たる場所がなくて」
「へぇ、なかなかの推理だ
そうだな……お礼にこれから夕飯でも一緒にどう?」
「いえっ、結構です!!」
「遠慮しないで
お礼したいし、それにまだゆっくり話したことないからそうさせて。ね?」
まるでおねだりする子どものようなあどけない笑顔
さすがにそこまで言われると逆らえない
「じゃあ、お言葉に甘えて……」
「うん」