きゅーぴっど②
バタンッ
あたしは家に帰ると同時に、自分の部屋に飛び込んだ。
「びっくりした~」
何あれ、新手のナンパ?
と走ったせいで上がった息を整えながら、
あたしはさっきの少年を思い浮かべる。
『……歳、あたしと同じくらいだったよね?』
そろそろ秋に近付いているとはいえ、季節的に言えばまだ夏だ。
夏に黒スーツを着て、涼しそうな顔でナンパって……
思い出したら笑えてきて、あたしは思わず吹き出した。
「――…人の服装を笑ってんじゃねーよ」
あと、ナンパじゃねぇ
ふと、さっきの少年の声が聞こえた
驚いてあたしはバッ、と声のした方を見る。
すると、部屋のドアのすぐ横の壁に寄っ掛かって、
不機嫌そうにこちらを見ているさっきの少年がいた。
「……い」
「い?」
「いや――――ッ!!
不法侵入―――!!!」