きゅーぴっど②
「恋のキューピッド……」
目の前にいる少年の話を聞いて、あたしは愕然とした。
そんな、信じられない
でもお兄ちゃんは、この少年のことが見えていなかった
少なくとも、人間ではないことは確かだ。
―――…それに、毎日違う男の人に声をかけるの飽きてきてたし…
「じゃあ、あなたはその依頼通り
あたしに彼氏ができるよう手伝ってくれるのね?」
とあたしは自分の中で一番可愛いと思っている笑顔で言った。
しかし、少年は眉間にシワをよせながら
「やだね」
そう言い放った。
さっきと話がちがうじゃない、と思い
あたしはつい「何で!?」と聞き返した。
そんなあたしを眺めていた少年は、無愛想な顔で
「俺はさ、恋愛に対して真剣に向き合ってない人間の手伝いは……やりたくないんだよね」
一瞬、少年の真っ黒な瞳の奥が光った気がして、思わず肩が跳ねた。