きゅーぴっど②



「やだっ!なに、……離してッ!!」


真っ暗い路地裏にあたしの悲鳴が響いた。
あたしを路地裏に引っ張りこみ、壁に押し付けた人物は
それを嘲笑うかのように、抵抗するあたしを軽々と押さえつける。


「……っ誰よ!こんなことするのはッ!!」


あたしは抵抗を続けながら、目の前の人物に向かって叫ぶ。

力からして男だろうその人物は、
真っ黒なフードを深く被っており、顔が見えない。

得体の知れない男を目の前にし、恐怖で顔が引き攣る

すると、男はくすくす、と小さく笑った。


「やだなぁ、桜ちゃん………僕だよ、桜ちゃんの彼氏じゃないか」


彼氏の顔を忘れちゃったの?

そう言った男はフードを取り去った。




その顔には、ひどく見覚えがあった。












男は、以前あたしに告白してきて付き合って《いた》男だった。




< 16 / 54 >

この作品をシェア

pagetop