きゅーぴっど②
「やだっ!なに、……離してッ!!」
真っ暗い路地裏にあたしの悲鳴が響いた。
あたしを路地裏に引っ張りこみ、壁に押し付けた人物は
それを嘲笑うかのように、抵抗するあたしを軽々と押さえつける。
「……っ誰よ!こんなことするのはッ!!」
あたしは抵抗を続けながら、目の前の人物に向かって叫ぶ。
力からして男だろうその人物は、
真っ黒なフードを深く被っており、顔が見えない。
得体の知れない男を目の前にし、恐怖で顔が引き攣る
すると、男はくすくす、と小さく笑った。
「やだなぁ、桜ちゃん………僕だよ、桜ちゃんの彼氏じゃないか」
彼氏の顔を忘れちゃったの?
そう言った男はフードを取り去った。
その顔には、ひどく見覚えがあった。
男は、以前あたしに告白してきて付き合って《いた》男だった。