きゅーぴっど②



珍しく、相手からアピールしてきたので
岬祐太郎のことはよく覚えていた。


「なんで、あんたが……」
「なんでもなにも、僕達付き合ってるだろう?
それが、一年も彼氏を放っておくなんて…ひどいなぁ」


にこにこ、そう穏やかに笑う祐太郎
でも纏っている雰囲気は暗く重い。

あたしは自身を叱咤しながら、祐太郎を睨み付ける


「あたしは」
「桜ちゃん、僕はね…
桜ちゃんのことがずっと好きだったんだ。
だから、君と付き合うことができたときはすごく嬉しかったんだよ?

…………なのに、昨日たまたま通った道で君を見たときは驚いたよ」



君が見知らぬ男に言い寄っているところを見てね

あたしが言おうとした言葉に被せて
そう祐太郎が言ったと同時に、

あたしの手首を掴んでいる手に力が込められた。
あたしは「いたい!」と言うが、力が緩まることはない。


そんなあたしに構うことなく、祐太郎は壊れた機械のように
一人でべらべらと話し出す。



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