きゅーぴっど②



「……ねえ、何であいつを警察に引き渡さないの?

また、あいつに殺されそうになるかもしれないのに…」


あたしの腕を引いて前を歩く少年に、あたしは力なく聞いた
先ほどの恐怖を思いだし、身体が粟立つ。

そんなあたしを、少年は一瞥すると


「……さっき、あいつのお前への恋心を消した。
もう、お前を殺そうとはしないだろ」


そう言った。
ああ、さっきの光はそういうことか…、と心の中で納得しながら

あたしは祐太郎のことを考えていた。



《桜ちゃん、僕は本当に君が好きなんだ。》

《君しかいらない、君が居てくれればいい》




「―――…あたしのせいだ」


あたしはそう呟いて歩みを止めた
必然的に少年も歩くのを止める。

顔を伏せるあたしを、少年はじっ、と静かに見据える。


「祐太郎は、昔はあんなんじゃなかった。」


勉強が出来て、

優しくて、

少し照れ屋


それが、あたしの知っている祐太郎だった。


「――…あたしが、ちゃんとしてなかったから……
祐太郎があんなになっちゃったんだ……」


ポロ、と涙が頬を伝う

それに続いて、次々と涙が溢れた。



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