きゅーぴっど②
ポロポロと涙を流すあたしに、少年は溜め息をつくと
ぎゅうっ、とあたしを抱き締めた。
そのまま少年はあたしの背中を優しく撫でるように擦ってきた。
あたしは最初、驚いたけれど
少年の腕の中が、暖かくてすごく落ち着いて
大人しくその場におさまった。
「中川桜」
ぼそりと少年は宥めるような優しい声で
あたしに話しかけた。
あたしはそれを無言で聞いていると、
少年はポンポンと優しく背中を叩く。
「言っただろ?
恋愛は人を変えるって」
その問いに、あたしはこくりと小さく頷く
「今回のことでお前も理解しただろ
人を本気で好きになるという覚悟を持たないで、
中途半端に恋愛することの恐ろしさを」
そう言ってあたしの背中を擦る少年の腕の中で、あたしは声も出さずに泣いた。