きゅーぴっど②



「………」




《好き》


そう言って中川桜は顔を真っ赤にしている。
俺はそんな様子をただ見ていた。



―――…やっちまった。


俺は心の中でそう思った。


「……悪いが、その思いを受けとることはできない」


そう言った瞬間、中川桜の肩が跳ねた。

中川桜は俺の顔を見ず、小さく「なんで」と言ったのが聞こえた。


「ルールでな、恋のキューピッドが依頼人に惚れられるのは、御法度なんだ」


そう静かに言った俺に、中川桜は顔を上げて
キッと鋭い視線で俺を見据えた。


「そんなの、納得できないッ!」
「納得できるかどうかの問題じゃないんだよ」


中川桜の瞳が、ゆらゆらと揺れている
俺はその瞳を見ながら言い返す



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