きゅーぴっど②
《………》
「……なんだよ」
予想とは違う静けさに、驚いた俺は
つい疑うような声を出してしまった。
《…ずるい》
「は?」
ぼそりと、ふてくされたような声が聞こえてきたと思ったら、
電話の相手は我慢していた何かが溢れたように
突然大声で叫び始めた。
《ずるいずるいッ!
あたしが抱き付いたら直ぐに剥がすくせに!
あの中川桜って人間には二回も抱きついてッ!
あたしも抱きつきたい――!!
あわよくば正樹の身体中を撫で回したい――!!》
……聞かなかったことにしよう
そう俺は瞬時に判断し、電話を切ろうとした
すると相手はそれを察知したのか、直ぐに謝ってきた。