きゅーぴっど②



《………》
「……なんだよ」


予想とは違う静けさに、驚いた俺は
つい疑うような声を出してしまった。




《…ずるい》
「は?」


ぼそりと、ふてくされたような声が聞こえてきたと思ったら、

電話の相手は我慢していた何かが溢れたように
突然大声で叫び始めた。



《ずるいずるいッ!

あたしが抱き付いたら直ぐに剥がすくせに!

あの中川桜って人間には二回も抱きついてッ!

あたしも抱きつきたい――!!

あわよくば正樹の身体中を撫で回したい――!!》



……聞かなかったことにしよう
そう俺は瞬時に判断し、電話を切ろうとした

すると相手はそれを察知したのか、直ぐに謝ってきた。


< 45 / 54 >

この作品をシェア

pagetop