アタシの人生に華が咲く
一般的に、後継ぎは私の両親となるハズなんだけど、そうもいかなくて。
私が10歳だったある日、私をひとり残し、父母ともに蒸発してしまったのだ。
理由なんてわからない。大人の事情なんて10歳のこどもにはわからなかった、少なくとも私は。
『今日からじいちゃんたちがお前の親だ。わかったな』
元々口数の少ないじいちゃんは、私の頭に筋ばった大きな手を乗せ、それだけ告げていつもの様に、鯛焼きを焼きはじめた。
なんとなくそれ以上は話してはいけない空気なんだと、こどもながらに感じた私は、そのまま黙って趣味だったお絵かきをはじめた。
考えちゃダメなんだ。だから涙の一滴もでなかった。
※
それから順調に育った私は、地元の学校に通う女子高生となった。
ある日いつも通りに家へ帰ると、ばあちゃんが慌ただしく、どこかへ電話をしていた。
店の焼き場に目をやると、いつもそこにいるじいちゃんがいない。