スイートルームの許婚






俺はエマさんの携番を住所録から探し出す。


話すのは何とか出来るけど、アラビア文字のスペルはさっぱりだから、探すのに苦労した。



『もしもし、私はドラゴンホテル東京ベイのコンシェルジュの小早川と申します…』



エマさんに事情を説明して、奥様に代わった。



エマさんは病院に来てくれるようで、奥様の嬉しそうに涙を潤ませる。エマさんが来れば、奥様をお任せするコトができる。


俺の役目も終わる。



エマさんは息を切らせながら、病室に入って来た。


褐色の肌に長いストレートの美しい黒髪の美女。

エジプトから来たと言うし、あのクレオパトラを思わせる。

「コンシェルジュの小早川です」


「この度はどうもありがとうございます・・・」


エマさんは片言の日本語で俺に礼を言う。






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