スイートルームの許婚
「この方は??」


隣に居た片瀬が俺に問いかける。


異国の美女をヤツは放ってはおけなかった。


「エマ様…当ホテルに宿泊されているお客様のご令嬢だ」


「へぇーっ」


「父の容体も回復しました。小早川さんは仕事で私の父を救ってくれたけど、私たちはとてもあなたに感謝してます。何かお礼がしたいんですけど、ダメですか?」



お客様に感謝されるのはこのコンシェルジュの仕事をしてて、いちばん良かった思える瞬間。


「あ…いえ…」


「明日の夜でも食事をご一緒に…場所はこのホテルの最上階のレストランで」


「しかし、仕事のシフトを見ないと…」


「私が許可する。行きなさい…小早川君」
チーフがデスクに戻って来た。


「ありがとうございます…チーフ」












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