スイートルームの許婚
「私が小早川です。私が責任を持ってお預かり致します…」



「ありがとうー」


男は俺に茶色の紙袋を渡した。


「それよりも…あなたはどなたですか?」


「小早川さん…知らないの?『OZ』のトーガだよ」
隣の片瀬が教えてくれた。



「小早川愛斗?愛斗??もしかして…由可奈の初恋相手?」
トーガは俺のネームプレートを見て、驚いた口調で問いかける。


「トーガ…行くぞ!!」


俺たちが話をする前に黒いスーツの男性がトーガの腕を掴んだ。



「ごめん…仕事の移動途中なんだ。また…今度ね…」



「・・・」


トーガは人集をすり抜けて、足早に去ってしまった。


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