スイートルームの許婚
敷き詰められた緋色の絨毯。


まるで、俺たちは夜空を歩いてるみたいな感じ。


「!?」


突然、俺の隣を歩いていた藤沢さんが足元を何かに取られ、俺に向かって躓いた。



俺は咄嗟に両手を伸ばし、彼女の身体を支える。



「大丈夫か?」


「ありがとう・・・藤沢さん」



藤沢さんのマリン系の爽やかさとフローラルの香りのする不思議な香水の匂いが
俺の嗅覚を惑わす。



「ねぇー私の部屋に来ない?」



「いや・・・」


「女性に誘われて断るの?小早川さん。お酒の飲めないヘタレさんのままでいいの?私に男を見せてよ」


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