スイートルームの許婚
「私は…」



トーガは私にとって全てを晒せる人間。


お母様と喧嘩した時は必ず、トーガに連絡して、愚痴を訊いてもらう。そして、矛先をお母様から彼に変え、八つ当たりを繰り返した。



彼は私に負い目があるから、従順で、私が責めても反論はしない。逆に、自分を責め、私に謝る。



その繰り返しで、心の中のわだかまりを消していたのに。



トーガの方から私と突き放すような言葉を言うなんて初めて。



------俺…もう限界なんだ。由可奈の愚痴を訊いてあげられない。



「トーガ!?」



< 149 / 289 >

この作品をシェア

pagetop