スイートルームの許婚
「由可奈…朝からテンション高いけど…婚約話以外にも何かあった?」



「あ・・・」


萌ちゃんはトーガとの私の関係知ってるけど、深くは知らない。



「別に…」



「・・・」
萌ちゃんは口ごもってしまった私の右肩に手を優しく乗せた。



「人生色々あるって…」


「そだね・・・」



「それよりも、小早川さんって語学にも堪能なんでびっくりしちゃった」



「えっ!?」



「おとついの夜、エジプトから夫妻で来た方がいて、旦那様が心臓が苦しいって内線でフロントに連絡が入れて来て…旦那様は英語できるんだけど、奥様はアラビア語しか喋れなくて…小早川さんに相談したら、アラビア語もできるって、パニくってる奥様に優しく声かけして、通訳として病院まで付き添ってくれたの」





一昨日の夜って、私と約束してたあの夜。
緊急でそんな出来事があったんだ。


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