スイートルームの許婚
「仕事に戻る」



愛斗は私の身体を離して、ソファーを立ち上がる。



このまま…奥の寝室に行くのかと思っていた私は拍子抜け。


もっと愛斗の温もりが欲しいと思っていたのに。



「仕事に戻るならその気にさせるキスしないでよ!」

一人、理性的な愛斗を責めた。



「その気?ふーん」



愛斗は皮肉を混じらせた笑みを浮かべる。



「俺もお前が欲しいけど…仕事に穴は開けられない…」


「・・・」


「夜まで待ってろ…じゃあー」


愛斗は軽く手を振って、スイートを出てしまった。





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