スイートルームの許婚
由可奈とはずっと、すれ違ったまま。



俺が由可奈と藤沢を両天秤にかけてるなんて、真っ赤な嘘だ!!



「俺は龍咲社長を信じて…このホテルに来たのに…」


俺は立ち上がって、反論する。


「俺は由可奈を愛してます!藤沢とは交際の事実はありません!信じてください!!」



「小早川君…君には悪いコトしたと思っている…。君のキャリアを傷つけたコトは謝る…。クビとさっき、言ったが…退職扱いにしよう…君の方から退職願いを書いてくれ」



龍咲社長は俺のキモチを聞いてくれなかった。


奥様には全く頭が上がらないらしい。



俺は龍咲社長を目標に、一流のホテルマンを目指し、龍咲グループの後継者として相応しい器になろうと努力を重ねた。



その努力は無駄で、俺は社長に失望したーーー・・・



もう、このホテルで働く意欲が湧かない。


「お世話になりました。後ほど…退職願をお持ちいたします」










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