スイートルームの許婚
このホテルを去る前に、由可奈にはもう一度、会おうと、スイートルームを訪ねた。



「愛…斗!?」


「仕事中、失礼するよ」


「・・・愛斗…このホテル辞めるって本当なの?」


既に、俺の退職は由可奈の耳に届いていた。


「辞める…このホテルは俺を必要としていないらしい」



「わ、私には愛斗が・・・必要よ!!」


ツンデレな由可奈が勇気を振り絞り、本音を俺に叫ぶ。



「私…龍咲グループを継がない!見合いだってしない…」


「・・・」


「お前ならどうする?俺と駆け落ちするのか?」



ドラマでもありがちな展開だけど。

俺には出来なかった。









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