スイートルームの許婚
「お前が空港で再会した時、言っていた由可奈の秘密って・・・出生の秘密か?」



「そうだ…」



「その秘密…俺にも教えてくれ」


「それは無理だ…」


栗原は黙って、俺に5本指を立てた。


「金か…5億は無理だぞ」


「そうか…」


こう言う所は抜け目がないようだ。

でも、俺も知りたくてウズウズしている。


悠長に栗原のペースに付き合っていられない。


俺は眼鏡を外して、椅子を引き立ち上がる。


栗原のネクタイを掴んだ。


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