スイートルームの許婚
俺はタクシーを呼んで、都内の病院に向かう。



由可奈は大量の睡眠薬を飲み、リストカットして自殺を図った。


幸い、発見が早く、一命は取り留めていた。



「小早川君…忙しいのにすまないね…」


「いえ、別に…」


ICUのベットに横たわり、眠る由可奈を龍咲社長夫妻と見舞った。


「お前が…由可奈に話すからだ…こうなったんだ…」


「私は由可奈に謝りたかっただけです…」



由可奈の自殺未遂の責任を擦り合っていた。


「静かにしてください…今は…由可奈の意識が戻るのが…先でしょ?」


俺の詰りで、二人は押し黙った。


互いにそっぽを向き合い不穏な雰囲気。










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