スイートルームの許婚
「お前…」



振り返ると愛斗は眼鏡を外していた。



「あのさ~お前…これだけ…俺が胸きゅんするようなセリフ言ってるのに…何も返さないのか?」



「えっ!?あ……愛斗は気長に私の鍵穴を外すように頑張ってくれるんでしょ?」



「今すぐ…開けろ」



「…面倒くさい女がスキなんでしょ?」



もう一人の愛斗は性急な男。


私にクッションを投げ返す。



「・・・」
愛斗は立ち上がって、私を抱き締めた。








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