スイートルームの許婚
昨日と同じフレグランスに全身が包まれる。



「お前のハートの鍵穴なんて、俺はホンキになれば、すぐに開く…」



「・・・」



愛斗が私の後頭部に手を回した。



そのまま、愛斗は私の許可なく黙って、唇を奪う。


「!!?」



塞がれた私の唇の中に愛斗の温かい舌が侵入。


離そうと抵抗すれば、いっそ深く愛斗の舌が絡らんで来る。



何も知らない私は、愛斗に全てを委ね、されるがまま。



キスの後の唇は湿り帯びて熱く、全身はキスの痺れで、力が抜けていた。
膝頭はガクガク震え、愛斗に抱きついていなければ、立ってはいられなかった。



「キス一つで…開くだろ?」


愛斗は私の身体から離れた。











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