スイートルームの許婚
石段を降りて、海岸で花火を始めた。



「一人で打ち上げ花火?」



「愛斗さっきから…うるさい…」


海に向かって放たれる色鮮やかな花火。

不発の花火もあって近づけば突然、火花が飛び出したりとスリルも満点。


二人で大はしゃぎした。

火薬の匂いが鼻を付くし、煙が目に来るけど、


俺は楽しそうに笑う由可奈が見れて、嬉しかった。




「可愛いくないなんて、言って悪かった…」


「本気で惚れた?」


由可奈の質問は図星。
惚れたなんて言えば…からかわれるのがオチ。


「…お前みたいな中学生に成人前の男が本気で惚れると思ってるのか?」



「私は…スキなのに」


「へっ?」



「嘘よ!私だってあんたみたいな眼鏡ヤローに惚れない…」








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