あぶない お姫様
教室に入ると、一斉にクラスの女子生徒が駆け寄って来た。


「あっ...あの...青柳さん...」


一人の女子生徒が尋ねる。


「なに?」


「昨日...迎えに来た人って...彼氏?お兄さん?」


...陸斗の事か?

あいつは...ん...どんな関係だ?

彼氏じゃないし...。兄貴でもない。

あの時陸斗は保健の先生に“兄”って言ってたな...。

この場は“従兄”にしとこーっと...。


「従兄...従兄だよ! 家誰もいないから迎えに来てくれたんだ...。」


とりあえず、従兄と誤魔化した。


「いいよねぇ...あんなかっこいい人にお姫様抱っこされてさぁ...」



いいわけねぇだろ! 無茶苦茶恥ずかしかったんだから...。



自分の机に座ると、香織が心配そうに尋ねてきた。


「華。おはよう。もう体調いいの?」

「香織。おはよう!もう大丈夫だよ。心配かけてごめんね。」


「あんた、朝から大変だね。華が帰った後すごかったのよ。長身でイケメンの彼が華をお姫様抱っこして連れて帰ったでしよ。みんなギャァギャァ言って授業どころじゃなかったんだから...」


「・・・」












< 128 / 177 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop