あぶない お姫様
藤堂を睨みつけながら伊吹陸斗が言う。
伊吹兄弟が入っている“ 上島組 ”と藤堂の実家 “ 藤堂組 ” は敵対している組同士。
お互い不穏な空気が流れる。
「お前らから華を守るためだ。」
藤堂が放った言葉に皆息をのむ
「お前らは上島に華を連れてくるように言われてんだろ? 」
『あぁ。』
「上島は華に対して憎しみを抱いている。今回もあいつのダチをチンピラ族に襲わせてんじゃねぇか。華をおびき出す為に。」
『上島さんはそんなことしねぇ。華を守るって…』
「はぁ…どこまでお前らはバカなんだよ。だったらなんで上島組に連れていかれた日、華は俺に助けを求めたんだ?」
藤堂に助けを求めただと?
確かにあの時の華は普通じゃなかった。
上島さんも俺達に会わせたくないような口調だった。
薬まで使って華をどうする気だったんだ?
「兎に角、お前らから華を守るために俺はついて行く。」
『っつ……』
伊吹陸斗は唇を噛み締めながら藤堂を睨みつける。
そうして俺達は華が今いる国崎医院へと向かった。